コラム

COLUMN - プロのインストラクターによる、ランニングに関するコラムを毎月ご紹介。

【2016/11/28】

ランナーと「足」
vol.4「アーチって何?」 アーチの役割とケア

コラムイメージ

こんにちは。パーソナルトレーナーの前田有久(まえだくにひさ)です。
さて、前々回は足そのものの造りについて、 前回は足首の動きについてお話ししました。

下から上がってきて、今日は膝!…といきそうですが、
今日はもう一度足首より下の部分、「足」に戻ってお話をします。


「足のアーチ」とは

多くの皆様が、「足のアーチ」という言葉を耳にした事があるかと思います。
何となく口にする、この「足のアーチ」、実はどの様なものなのでしょうか?

アーチのその物を見る前に、先ずは我々の重心は足の裏のどこに乗るのが理想的かを見ていきましょう。

勿論、各競技の特性はありますが、基本的には
・拇指球
・小指球
・踵
の3点に載るのが理想とされています。

足

カメラの三脚のイメージです。

私達は、立っている状態で足の裏のこの三点に体重を載せる事で、
バランスの良い立ち姿勢を維持できます。

拇指球の重要性がよく話されますが、状況にもよりますが、
地面を押して体を移動させる際、動きの中で最も力強く地面を押す場所は多くの場合が拇指球なのですが、
最初から拇指球にだけ意識がいってしまうと「三脚」ではなく「一脚」になってしまい、
バランスが悪い上、パフォーマンス的にもかなり力のロスが生じてしまいます。

厳密に言うと基本は踵と拇指球がメインで、
サポート的に小指球というイメージです。

横に動く際は、この小指球も活躍させます。
長距離ランナーの皆様は、踵から拇指球の重心移動が身近に感じられることでしょう。


アーチの話に戻ります。
「足のアーチ」と聞くと、いわゆる「土踏まず」をイメージされる方が多いかと思います。
勿論、土踏まずはアーチの一つですが、土踏まず”だけが”アーチではありません。

アーチは大きく分けて、下記の三つが挙げられます。
・内側縦アーチ…踵から拇指球(土踏まず)
・外側縦アーチ…踵から小指球(小指側の足の縁)
・横アーチ…拇指球から小指球

つまり、上記で挙げた足の裏の体重を乗せるべき3点を繋いだラインが、アーチを形成しています。

アーチ

ではこのアーチはどの様な役割を果たしているのでしょうか。

アーチの最大の役割として、「衝撃の吸収(クッションの役割)」という事が挙げられます。

雪深い地域の家屋の屋根などを例にとると、
屋根をアーチ型や三角型にする事で、一点に雪の重みが集中する事を回避し、負荷を分散してくれます。

この屋根の構造を考えた時、
重力に耐え屋根の形状を維持する為に「梁(はり)」と呼ばれる横向きに走る柱が存在します。
この「梁」の役割を、足においては「足底腱膜」が担っています。
屋根と足で大きく違うのは、足は屋根の様に同じ場所で動かずに重力を支えているわけではなく、
動きの中でクッションの役割に加えて、バネのような、ブースターの役割も担っています。

重力を跳ね返す様な働きです。

このため、梁の役割を果たしている足底腱膜には、丈夫なだけではなく、高い弾力性が求められます。
ここがかたまってしまうと、衝撃吸収性に劣るだけではなく、放置していると「足底腱膜炎」という傷害のリスクとなります。

足を多く使われるランナーの皆様には、この足底腱膜が酷使されていますので、ケアが求められています。

足の簡単ケア・「足底腱膜」

前回同様、テニスボールを使って簡単に出来ますので、皆様やってみてください。

【内側縦アーチ】

土踏まずの辺りを中心に、足の内側でボールを縦に転がします。

内側縦アーチ

【外側縦アーチ】

足の小指側(外側)でボールを縦に転がします。

外側縦アーチ

【横アーチ】

ボールを足の指の付け根あたりに置き、かかとを床につけ固定し、ボールを横に転がす様に動かします。

横アーチ

なるべく足の裏を緊張させず柔らかくして、少しだけボールに圧をかけて行います。
いずれも普通の靴下で行うとテニスボールの素材的に非常に滑りやすいので、
素足でされる事をおすすめします。

「足」で魅せた選手

最後にせっかくの足の話題ですので、
Vol.1(2016年8月掲載)でお話しさせて頂いた「裸足のアベベ」アベベ・ビキラ選手の事を少し。

ローマ五輪での裸足の激走での金メダルを取った際、
ゴール後も非常に涼しい顔で入念なクールダウンを行っていた彼ですが、
その寡黙な佇まいで「裸足」で優勝してしまう様子は、英雄と呼べるに十分な活躍だった事でしょう。

その4年後の東京五輪で金メダルを獲得しオリンピックマラソン二連覇を達成した彼は、
さらに4年後の1968年のメキシコ五輪にも出場します。

しかし、足の故障のを抱えていたためレースを途中棄権し、五輪3連覇の偉業を目にすることはできませんでした。
1969年3月、彼は不慮の自動車事故を起こしてしまい、走ることはおろか、歩くことさえできない大けがを負ってしまいました。

しかし、これで消え入るように姿を消してしまうと悲劇で終わってしまいますが、
彼は事故からわずか4か月後にイギリスで開催されたパラリンピックの大会に、
なんとアーチェリーと車椅子競争の二種目に出場してしまうのです。
歩けなくなるほどの大変な自動車事故でも、彼のアスリートの本能を消し去ることはできなかったのです。

しかし、その後、事故の後遺症に苦しんだ彼は、1973年10月、人生のゴールを迎えました。


アベベ選手が裸足で金メダルを獲得した1960年のローマ五輪では、
実はもう一人カリスマ的スターが誕生しました。

アベベ選手と正反対に、非常に賑やかで口数も多く、
歯に衣着せぬビッグマウスでスターダムにのし上がった世界的カリスマ、
ボクシング・ヘビー級金メダリスト、カシアス・クレイ。

後にムスリムになり、「モハメド・アリ」と名乗る男です。

アリも後年、パーキンソン病を患いながらも全盛期と全く変わらぬ眼光で、
1996年アトランタ五輪という超大舞台で、ガタガタ震える手で聖火点灯を行いました。

その不屈の精神は、もう一人のローマ五輪の英雄、アベベ・ビキラ選手と共通するものを感じます。
アリのトレードマークは「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と呼ばれたフットワーク。

彼もまた、「足」で魅せた選手でした。

以上、パーソナルトレーナー・前田有久が4回にわたり担当させていただきました。
皆様のランニングライフが、素晴らしいものになりますように。

著者イメージ
【著者プロフィール】
前田 有久(まえだ くにひさ)

パーソナルトレーナー。
2004年から2012年まで大手フィットネスクラブにて社員として勤務。
現在フリーランスとして京都・阪神地域にて、
月間約100本のパーソナルトレーニングセッションを担当。
フィットクラブの会員様からジュニア世代のアスリートまで、
幅広いクライアントの目的に合わせた「強い体」作りをサポートしている。
京都府出身。兵庫県在住。

[活動実績]
・極真空手…高校生ウェイト制の大会で優勝
・ゴルフ…高校全国大会に出場
・野球…ボーイズリーグの選手の甲子園常連校への進学をサポート
・その他、ラグビー・柔道・陸上(短距離、長距離両方)
・空手などの選手やダンサーのストレングストレーニングを担当
・ニューヨーク在住日本人女性シンガーのボディメイク
・世界的に有名な護身術・グレイシー柔術アカデミー認定の
 日本人国内二人目のインストラクターとして活動中。

[取得資格]
・adidas ファンクショナルトレーニング
・NESTA-PFT
・グレイシー柔術アカデミー認定インストラクター
・BFR認定トレーナー
・さとう式リンパケア上級認定インストラクター

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