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COLUMN - プロのインストラクターによる、ランニングに関するコラムを毎月ご紹介。

【2013/11/04】

ランニングと健康 vol.2 「〜ランナーのための呼吸コンディショニング〜」

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こんにちは。関西で活動しておりますトレーナーの岡本雄作です。
ランニングについて第二回目の内容は、『ランナーのための呼吸コンディショニング』です。

我々トレーナーという職業で1番得意な分野は「コンディショニングを行うこと」になります。
では、コンディショニング行うとは・・・

■競技者が体力の調整、または高めるために行うすべての運動
■体力や技術の向上を目指した計画的な身体運動(トレーニング)の効果を十分に上げるために、
 身体運動以外の生活条件を合理的に整えていくこと
■ある目的を達成するために心身の必要条件を最適化する準備過程の諸側面である

つまり、競技スポーツにおいては、勝つためのすべての準備を指し、
一般の方々にとっては快適に運動を継続できる身体であり続けることになります。

コンディショニングの目的は、①競技力の向上、②怪我の予防、これらに集約でき、
あくまでも必要条件であり、十分条件でありません。
今回のマラソンを例に挙げれば、世界トップクラスの実力者であっても、
コンディショニングがうまくいかなかった場合には記録、実力が出せないばかりか、完走すらできない場合もあります。

そして、ランナーのコンディショニングを崩す最も大きな影響を及ぼすのがトレーニングであるとされています。
トレーニング量を増やしすぎた場合が多く、トレーニング量が少なすぎた場合
コンディショニングが大きく崩れることは少ないが、トレーニング効果も大きく望めません。
コンディショニングを崩さずいかに質・量の高いトレーニングを消化し、
マラソンの競技力向上に結び付けるかが、大きな問題となります。

「ランニングを楽しむ程度に」と思っている方も、怪我を予防することと、
少しでもタイムを縮めたり、距離を伸ばせたりすることは心理的なストレスを解消するのに非常に大きな役割を持ちます。

呼吸から考える体幹の安定

前置きが長くなりましたが、今回は呼吸からコンディショニングを整えていく方法をお伝えします。
呼吸を整える理由はどの競技にも当てはまることですが、体幹の安定にとって非常に重要な役割を持ちます。
(体幹の定義は、ここでは頭、腕、脚を除いた胴体ということにしておきます。)
体幹が安定することで手足をうまく振り出せることになります。
また、ランニング中の呼吸の乱れは体幹の不安定さを導き、身体の様々な部位に悪影響を及ぼすとともに、
体力的な限界を早くに迎えてしまうことになります。

ヨーロッパに下記のような言葉があります。

“If breathing is not normalized, no other movement pattern can be”
「呼吸が正常化されていなければ、その他の動作パターンが正常化されることはない」

一般成人の呼吸は安静時で12~18回/分 行うとされています。
これを1日に置き換えると少なくとも約20000回になります。
20000回もの呼吸で正常に行えていないとすれば身体の機能が正常化されず、パフォーマンスの低下や痛みにつながってきます。
呼吸に関わる主要な筋(横隔膜、肋間筋、斜角筋、腹横筋、骨盤底筋、脊柱の深部内在筋)は
背骨を安定させる筋肉として姿勢機能にも関わり、二重の役割を担っています。
よって体幹の安定化を考えたとき呼吸は無視できません。

呼吸コンディショニングとしてエクササイズを2種類に分けて行います。
1つは腹式呼吸。もう1つは胸式呼吸です。

腹式呼吸では腹腔(ふくくう)といってお腹を指します。
胸式呼吸では胸腔(きょうくう)といって胸を指します。

腹腔と、胸腔を使った呼吸エクササイズ法

それぞれ腹腔メインの呼吸と、胸腔メインの呼吸エクササイズを行います。
今回はすべて仰向けで、両ひざを曲げ腰の下に手のひら1枚分の隙間をあけて寝る姿勢で行います。
まずは、腹式呼吸です。

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【腹式呼吸】

  • 鼻から息を吸いお腹を膨らませます
     この際に大きく吸いすぎて胸が膨らんだり、肩に力が入ったりしないようにします
  • 息を吸いきったところで1秒だけ止めます
  • ゆっくり10秒以上かけて吐き出します
     この際、無理におなかをへこませるのではなく、呼吸とともにへこんでいくのを感じてください
  • 吐ききったところで1秒とめます
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腹式呼吸が終われば、次に胸式呼吸を行います。

【胸式呼吸】

  • 鼻から息を吸いお腹を膨らませます
     この際、おなかは膨らませずに肋骨(ろっこつ)の下部を横に開くイメージと、肩に力を入れてすくめないように行います
  • 息を吸いきったところで1秒だけ止めます
  • ゆっくり吐いていきます
     この際、おなかとともに肋骨の下部は中に閉じていきます
  • 吐ききったところで背筋をしっかり伸ばしましょう

①~④の流れ120秒繰り返し、腹式呼吸ほど大きく呼吸はできませんが、
できるだけ呼吸が早くならないように気を付けてください。

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※肋骨の下部が閉じたり開いたりを手で確認します(胸式呼吸)

仰向けで行う際、どうしても力が入ってしまう方はうつ伏せで行うことで、
お腹の膨らみやへこみを感じやすくなる場合もありますので是非試してみてください。

以上のことから、呼吸を改めて見つめなおしてみると
正常に自身の思い通りにならないこともしばしば見受けられます。
たかが呼吸ですが、呼吸の代表的な筋肉である横隔膜が正常化されていない呼吸のままでは
体幹トレーニングの効果も減退してしまいます。
ただし、呼吸のみでも体幹の安定性をコントロールすることは出来ず、
あくまでも必要な要素のひとつでありますが、自身の身体の評価としても行ってみてください。

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【著者プロフィール】
岡本 雄作(オカモト ユウサク)
整形外科にて1ヶ月に約800名の患者様のトレーニングに携わり、安全で効果的なエクササイズの提供とフィットネスクラブにて約70本/月のセッションを実施。
個人指導は合わせて120本/月 実施。フィットネスクラブのクライアントには、ダンス競技者、競技エアロビクス選手、何歳からでも飛距離が伸びるゴルフ愛好家、痛み改善希望者、ダイエット希望者など。
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